人見知りと対人恐怖症との違いとは?どう見極める?

人見知りに悩む人の中には「自分は何らかの病気なのではないか」と感じる人も少なくありません。ストレスの多い現代社会において、精神的な病気を抱える人は年々増え続けています。

人見知りにもさまざまなタイプがあり、第三者から見ても分かりづらいタイプの人と、誰の目から見ても人見知りであるとはっきり分かるタイプの人まで存在します。

中には人と接する際に異常なまでの恐怖心を抱く人も多く、単なる人見知りだと思いこんでいると、症状が緩和されるどころか悪化することもあります。そのような人の多くが「対人恐怖症」という病気であり、適切な治療を施す必要があるのです。

今回は、人見知りと密接な関係のある対人恐怖症について詳しく解説していきます。

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対人恐怖症とは?

人見知りと対人恐怖症との違いとは?どう見極める?

対人恐怖症とはその名の通り、人と接することに対して異常なまでの恐怖心を抱くことです。もともと人間は自分が知らない他人に対しては警戒心を抱くものですが、対人恐怖症の場合は警戒心よりもさらに強い恐怖心が先行します。

人混みにいるとあまりの恐怖にパニックになったり泣いてしまう、会話をしようとしてもパニックに陥り言葉が出てこない、人前で物を食べたり飲むことが怖いといった症状が大きな特徴として挙げられます。

また、メールやラインなどのテキストベースのコミュニケーションであればそれほど苦痛を感じなくても、電話が掛かってくるとパニックに陥り、仕事に支障をきたすこともあります。相手が何を言っているのか分からなかったり、言葉に詰まってしまうことが多いのも対人恐怖症の特徴です。

精神疾患の一つである対人恐怖症は、うつ病などの病気と併発することが多く、もともと明るい性格でコミュニケーションが問題なくできていた人であったとしても発症する可能性があります。

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人見知りと対人恐怖症の根本的な違い

人見知りという性格と対人恐怖症は共通する部分が多く、第三者が一目見ただけで判断することはできません。怪我や病気のように本人の自覚症状も分かりづらく、一般の人が安易に判断することは難しいものです。

対人恐怖症はうつ病などと同様に脳内の神経伝達物質が極端に不足していることが原因で発症するものです。病院では自覚症状があるか否かの問診から、科学的に神経伝達物質を調べたうえで総合的に判断します。

極論を言ってしまえば、病院に行って医師から「あなたは対人恐怖症です」と診断されれば対人恐怖症ということになります。

大きなポイントとしては、人見知りはその人の性格であるのに対し、対人恐怖症はあくまでも精神疾患であるため、ふとしたきっかけで患ってしまうことがあるという点です。

例えば、仕事やプライベートにおいて大きなストレスを抱え込み、うつ病と併発することも少なくありません。

また、大人数の前で失敗をして恥をかいたり、上司から強い叱責を受けて自尊心を傷つけられてしまったり、メンタル面で大きな傷を負ってしまうと対人恐怖症となるケースがあります。

そのため、もともと明るい性格だったのに、ある時期から人が変わったように暗くなってしまったという場合には要注意です。早めに医師の診察を受けるようにしましょう。

人見知りが原因で対人恐怖症になることはある?

対人恐怖症は人見知りと共通するところが多いため、もともと人見知りであった人が対人恐怖症を発症する可能性は高いと言われています。

発症する原因は、やはり強いストレスや過去のトラウマが大きいです。人見知りの人は他人の目を気にする傾向がより強いため、通常の人と比べて対人恐怖症となる可能性が強いということになります。

内向的な性格がより強くなることはもちろんですが、身体的な異常も見られることが少なくありません。例えば、動悸が激しくなったり大量の発汗、言葉に詰まる吃音の症状など、今までに見られなかったような異常が出てきた場合は要注意であると考えておきましょう。

また、人見知りである自分の性格を気にするあまり、それ自体がストレスになって対人恐怖症へと進行することもあります。人見知りだからといって深刻に考えすぎないことが重要ですが、しかし同時に、本人にとっては最も難しいことでもあるのです。

対人恐怖症はどうやって治療する?

対人恐怖症と診断された場合、主な治療法は大きく2つあります。

一つは薬物療法です。対人恐怖症の原因である脳内神経伝達物質の分泌を助けてくれる薬を飲み、改善していきます。薬の種類もさまざまで、初めて発症した人や症状が軽い人に対しては漢方薬などが処方されます。比較的緩やかに回復していくため、体にとっても負担の少ない薬です。

しかし、うつ病などを併発して症状が重い人に対しては即効性のある強い薬が処方されます。

いずれにしても薬物療法を行う際には、処方された薬が残った状態で症状が改善されたとしても、全ての薬を飲みきるということが大切です。

2つ目の治療法は認知行動療法です。これはその人自身の思考、考え方を本人が認識し、よりストレスを感じないような考え方に改めていくという方法です。

ストレスの根源となる物事は人によってそれぞれ異なります。これは個人によって物事に対する考え方に偏りが生じることが原因です。

ポジティブな考え方をする人はストレスを抱えることが少ないですが、ネガティブな思考を持っている人は些細な事が本人にとっては多大なストレスとなることがあります。

そのような考え方を是正し、よりポジティブに捉えられるようにもっていくこと認知行動療法の特徴です。これは対人恐怖症だけではなく、うつ病やパニック障害といった精神疾患の治療方法としても有効であり、根本的な解決を望む患者にとっては非常に有効な治療方法であるといえます。

最後に

対人恐怖症は様々な要因によって引き起こされます。もともと人見知りで内気な性格の人は物事をネガティブな方向に考えがちであり、対人恐怖症のような精神疾患と深い関わりがあります。

人見知りで悩む人の中には、実は対人恐怖症を患っているケースも少なくありません。一人で解決しようとせず、どうしても人と接することに恐怖心を感じる場合は周囲のサポートや医師の診察を受けてみることも悩みを解決する第一歩になるかもしれません。

ぜひ参考にしてみてください。